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血管内レーザー治療【保険診療】
悪くなった静脈の中にレーザーファイバーを入れ、その先端からレーザーを照射します。
すると血管が熱で縮んで、血液が流れなくなります。ひざの内側に細い針を刺すだけで、治療できます。手術後の出血はほとんどなく、痛みも少なく体にやさしい手術です。
レーザーの光そのものは、血管の細胞を超えて周囲の組織に達することはないので、心配いりません。
2018年末、レーザーファイバーが従来よりもさらに細くなりました。点滴の針を使って、レーザーファイバーを血管内に入れることができるようになったので、手術の後の創がほとんど目立たなくなりました。その後数ヶ月もすれば、この血管は吸収されてほとんどなくなります。血管内焼灼術(ELVeSレーザー)の様子はこちら
治療の流れ
病気になっている静脈に血管の中からレーザーファイバーを入れ、レーザー光を静脈壁へ直接照射すると、血管の水分に吸収されて熱に変換されます。50℃で静脈壁のコラーゲン繊維収縮が始まり、70℃から100℃で壊死となります。
レーザーエネルギーをレーザーファイバーの先端2ヶ所から分散照射し、静脈壁を均一に焼灼します。
すると静脈壁の収縮と肥厚により血管内腔が縮小します。
ファイバーの側面から全方向にレーザーが出るので、静脈壁が均一に焼け、確実に塞ぐことが可能です。
レーザー光は、血管の細胞を超えて周りの組織に達することはありませんのでご安心ください。手術の流れ
①超音波検査にて血管の状態を確認し、穿刺部位を決定。
②マジックで皮膚にマーキング。
③穿刺部位を局所麻酔。
④血管を針で穿刺し、超音波を見ながら針を血管の中に進める。
⑤ファイバーを挿入。
⑥超音波で見ながら、TLA麻酔液を血管のまわりに浸潤させる。
⑦レーザーを照射しながら、ファイバーをゆっくりと引き抜きます。
場合によっては、残存静脈瘤の処置をします(スタッブアバルジョン)。
⑧弾性包帯を下肢に巻き、弾性ストッキングを履きます。痛みは、原則麻酔の注射を打つときにチクッとするだけです。術後にも痛みはほとんどありません。
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スタッブアバルジョン【保険診療】
曲がりくねった瘤状の血管の場合、レーザーファイバーを入れることができません。
そこでメスの先で皮膚に2~3mmの小さな創をつけて、曲がりくねって太くなった血管を、鉤のついた専用の器具で引き抜きます。
非常に小さな創のため、跡はほとんど残りません。当院では、血管内レーザー治療とこの方法を組み合わせる治療を行っています。 -
硬化療法【保険診療】
硬化剤というお薬を静脈の中に注射で直接注入して、血管の内側を固めて、血液が流れなくする方法です。薬の作用で1~6ヶ月で静脈瘤は消失します。
1回の治療にかかる時間は5~20分、数回の治療が必要となることがあります。
もっとも簡単で時間のかからない方法ですが、数ヶ月間皮膚に色素沈着が残ったり、血管がしこりのようになったりして少し痛みが出ることがあります。 -
フォーム硬化療法【保険診療】
血管を固める薬剤と空気、あるいは二酸化炭素をポンピング(混ぜて)して、白い泡状になったものを血管に注入する治療法です。
通常原液の3~4倍の治療効果が望めます。 -
圧迫療法(弾性ストッキング・弾性包帯)【自費】
下肢静脈瘤の治療と予防にとても重要な役割を果たします。
足にたまった静脈血を心臓まで返す主な機能は、ふくらはぎの筋肉の収縮が足の静脈を圧迫して血液を絞り出す、筋ポンプ作用と静脈弁による逆流防止作用です。
弾性ストッキングを使用することで、皮膚を通して圧迫圧を下肢静脈に伝えることにより効果が発揮されます。
弾性ストッキングは足首に圧迫圧がもっとも強くかかり、膝に向かうに従い圧が弱くなるように作られています。
誰にでも適切に使用しやすくなっています。
また、むくみ・エコノミークラス症候群の予防にもなります。 -
高位結紮術【保険診療】
悪くなった静脈の血管の根元を糸で縛り、切り離します。局所麻酔で出来るので、日帰り手術です。
しかし、しばしば再発があり、現在はストリッピング手術や血管内レーザー治療となるケースが増えています。 -
ストリッピング術【当院では実施していません】
悪くなった静脈の中に細い針金を入れて、静脈を抜き取る手術です。静脈を抜き去る時に強い痛みを伴うため、全身もしくは下半身の麻酔をしなくてはなりません。通常、入院が必要となります。当院では行っておりません。
しかし、ストリッピング手術ができる血管のほとんどが、血管内レーザー治療(当院で治療可能)で対応できます。 -
グルー(べナシール)【当院では実施していません】
血管の中に瞬間接着剤を入れて固める方法です。2020年から、日本でも保険診療で受けることができるようになりました。
当院ではこの治療法は採用しておりません。 -
体外レーザー【当院では実施していません】
表皮に近い部分の細い血管が、対象となります。自費診療です。当院では実施していません。
これは体の外から皮膚にレーザーを当てる方法で、主として美容外科クリニックが自費診療として行っています。